結婚指輪の素材として人気が高いプラチナやゴールドは、一般的に「金属アレルギーを引き起こしにくい」といわれている素材です。しかし、中にはプラチナやゴールドにもアレルギー反応を示してしまう人もいます。
そこで今回は、金属アレルギーを引き起こしやすい素材や引き起こしにくい素材、金属アレルギーの原因についてご紹介します。「金属アレルギーを持っている」「肌が弱い」という人は、ぜひ参考にしてみてください。
【金属アレルギーとは?】
そもそも金属アレルギーとは、何が原因でどのような症状が引き起こされてしまうのでしょうか。ここでは、金属アレルギーの原因や症状について詳しくご紹介します。
金属アレルギーの症状と原因
金属には汗などと触れると溶け出す性質があります。溶け出した金属はイオン化し、体のたんぱく質と結び付くとかゆみやかぶれなどの症状を引き起こすことがあります。これが金属アレルギーです。
金属アレルギーになりやすい人
一口に金属アレルギーといってもアレルゲンとなる金属の種類は数多くあるため、一概に「こういう人が金属アレルギーになりやすい」とは言いきれません。しかし、金属アレルギーを引き起こしてしまいやすい人の多くは「汗をかきやすい」という特徴を持っているといわれています。
金属アレルギーの原因は、汗によって金属が溶け出してしまうことなので、汗をかきやすい人はそうではない人よりも金属成分に触れる可能性が高いことから、金属アレルギーになりやすいといえるでしょう。
【金属アレルギーになりにくい/なりやすい素材の結婚指輪】
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金属アレルギーが心配な人は、アレルギーを起こしにくいとされている金属を使用した指輪を選ぶといいわけですが、そのような指輪はあるのでしょうか?
結婚指輪の定番素材といえばプラチナやゴールドですが、チタンやジルコニウムなどの結婚指輪もあります。チタンやジルコニウムは表面の酸化被膜により、ブルーやグリーンなどに発色させることができるため、ユニークな結婚指輪を探している人におすすめです。
金属アレルギーになりやすい素材
金属アレルギーになりやすい素材は、ニッケルやコバルト、パラジウム、クロム、すず、水銀といった素材で、特に注意すべきなのは「パラジウム」「ニッケル」「銅」の3つです。
以下に詳しくご紹介します。
パラジウム
金属アレルギー持ちの人が特に気をつけなくてはいけない素材が、パラジウムです。なぜなら、パラジウムは結婚指輪の素材として定番のプラチナやゴールドに配合されていることが多いためです。結婚指輪として人気が高いプラチナやゴールドは「Pt900」「Pt950」「K18」などと表示されており、これは「100%プラチナやゴールドでできてはいない」ということを示しています。つまり、何割かパラジウムが入っている可能性があるということです。
パラジウムはプラチナに似た白い輝きを持っているため、特にプラチナの指輪に配合されることが多い素材です。加えてパラジウムはプラチナだけでなく、ホワイトゴールドやピンクゴールド、シャンパンゴールドなどの素材にも利用されています。
ニッケル
ニッケルは金属アレルギーの原因物質として非常に有名なアレルゲンで、最もアレルギーを引き起こす可能性の高い金属と考えられています。ニッケルは酸にとても弱い性質を持っていることから、指輪の中のニッケルが汗によって溶け出し、金属アレルギーを引き起こしてしまうことも珍しくありません。またパラジウムと似た性質を持っていることから、「パラジウムに反応する人はニッケルにも反応する」といわれています。
なお、ニッケルはジュエリーだけではなく、ステンレス製の調理器具やめがねの金属部分、硬貨などにも高い比率で用いられています。
銅
金属アレルギーを引き起こしてしまう確率はパラジウムやニッケルの方が高いものの、体質によっては銅が金属アレルギー発症の引き金になってしまうこともあります。
銅が使用されている素材といえば「ピンクゴールド」が有名ですが、実は「イエローゴールド」にも微量の銅が配合されている場合があります。
ゴールドの種類によって銅の含有量は大きく異なるため、カラーゴールドを選ぶ際はどの程度の割合で銅が配合されているのかを確認するようにしましょう。
金属アレルギーになりにくい素材
金属アレルギーになりにくい素材は、チタンやレアメタル素材、プラチナ、ゴールドなどですが、これらの素材の中にパラジウムやニッケル、銅といったアレルギーを引き起こしやすい金属が配合されている場合は、金属アレルギーになってしまう可能性があります。そのため、プラチナやゴールドなど金属アレルギーになりにくいといわれている素材であっても、配合されている金属やその含有比率にも注意することが大切です。
【結婚指輪に多く使われる素材】
結婚指輪の定番素材といえばプラチナやゴールドですが、指輪はひとつの素材からできているのではなく、多くの場合は数種類の素材を混ぜ合わせて作られています。
ゴールドの割り金の割合
ゴールドの割り金は銀、銅、パラジウム、ニッケル、亜鉛などが一般的。割り金の種類や配合によりイエローゴールドやピンクゴールドなどの色みが決まります。
なお、金の純度は24分率で表示されます。
つまり、K24は純金ということ。ジュエリーで多く見掛ける「K18」とは24分の18で、純度75%ということ。金が75%で、残り25%は他の金属であることを意味しています。
ゴールドの割り金に使用されることが多いパラジウムやニッケル、銅は、金属アレルギーを引き起こす可能性の高いため、特に気をつけたい素材です。
プラチナの割り金の割合
結婚指輪によく使われるプラチナやゴールドは、金属アレルギーを起こしにくい素材といわれています。しかし、プラチナやゴールドなどの素材の多くは単体で加工されることはなく、強度を高めたり加工をしやすくしたりするために、別の金属を混ぜることがほとんどです。
プラチナやゴールドに混ぜられることが多い素材の中には、金属アレルギーを引き起こしやすいパラジウムやルテニウム、イリジウム、銅、コバルトなどがあります。特にパラジウムは金属アレルギーを起こしやすい金属ですので、注意が必要です。
なお、プラチナの場合は「Pt950」や「Pt900」といった表示がされますが、これはプラチナの割合を示しており、Pt950はプラチナが95%であることを意味しています。
【心配な人は事前に金属アレルギーの検査を】
金属アレルギーはそれまで症状がなくても、突然発症する可能性もある厄介なもの。「金属アレルギーが心配」という人は、結婚指輪を購入する前に皮膚科などで金属アレルギー検査(パッチテスト)を行いましょう。
この検査ではプラチナやゴールド、銅、パラジウム、銀、コバルト、イリジウムなど、結婚指輪の素材で使用されることが多い金属についてのアレルギーを調べることができます。なお、すべての皮膚科で金属アレルギーの検査を実施しているとは限らないので、事前に確認してから受診されることをおすすめします。
金属アレルギーになってしまった時の対処法
指輪を着用していて「かゆくなった」「湿疹が出てきた」という場合は、どのように対処すればいいのでしょうか。ここでは、金属アレルギーになってしまった時の対処方法についてご紹介します。
皮膚科へ行く
金属アレルギー発症の可能性を感じたら、できるだけ早く医療機関へ行きましょう。どの金属に反応しているのかは精密検査をしてみないとわからないため、自己判断をするのではなく、速やかに受診することをおすすめします。
受診する医療機関は基本的に皮膚科がいいとされていますが、アレルギー症状が呼吸器系など体内に現れている場合は、内科への受診も検討しましょう。
清潔に保つ・運動する際などは着けない
金属アレルギーを引き起こしてしまう原因のひとつは、汗によって金属成分が溶け出してしまうこと。「金属アレルギーになってしまったかもしれない」と感じたら、汗をかく場面での着用を控えて様子を見ることも重要です。加えて「汗をかいたらすぐにふき取る」「指輪を定期的にクリーニングする」など、清潔に保つことを心がけることも大切です。
ただし、症状が辛かったり長引いたりするようであれば、速やかに医療機関を受診してください。
【金属アレルギーを避ける方法は?】
冒頭でも説明したように、金属アレルギーは金属が汗などに触れ、溶け出すことによって引き起こされます。ですから、運動をする際や夏など汗をかきやすいときは身に着けないようにしたり、汗をかいたらすぐにハンカチなどでふき取るようにしたりすることが大切です。なお、かゆみやかぶれなどの症状が出たら、指輪を外してなるべく早めに皮膚科で診察を受けましょう。
【まとめ】
金属アレルギーになりやすい素材にはパラジウムやニッケル、銅が、なりにくい素材にはプラチナやゴールドなどがあります。それぞれの素材が持つ特徴を知ることで、金属アレルギーを引き起こしにくい指輪選びを実現できます。
すでに金属アレルギーを自覚しているという人は、メインの素材に配合されている割り金の比率にも注目し、できるだけアレルゲンの含有量が少ない指輪を選びましょう。
更新日時:2023.11.28