日本では「結婚指輪は左手薬指に着ける」のが一般的ですが、そのような習慣が根付いた背景をご存知ですか? 指輪は着ける指によって、込められる意味も変わってきます。この記事では、そんな結婚指輪と「指」に関わるさまざまな情報をご紹介します。

婚約指輪・結婚指輪はどの指に着ける?

・普段は、どの指に着けてもOK!

「結婚指輪は左手薬指に着ける」というのは、実は厳密な決まりやルールとされているわけではありません。結婚していることを示したいならば「左手薬指に着ける」のがベストですが、右手でも左手でも構いませんし、薬指以外の指に着けても特に問題はありません。着ける指それぞれに意味があるので、そのときの気分などに応じて、色々な指に着けることを楽しむ事も可能です。

・結婚式では、着ける指に決まりがある

ただし、「必ず左手薬指に着けなければならない」というタイミングはあります。それは、結婚式の指輪交換の儀式(セレモニー)のときです。指輪交換の際は、お互いの左手薬指に指輪をはめることが慣習となっています。

儀式の前には、婚約指輪をあらかじめ右手の薬指に付け替えておき、左手薬指を空けておくようにしましょう。婚約指輪は指輪交換の儀式を終え、お互いに結婚指輪をはめた後に、結婚指輪の上から重ね着けするのが正式な着け方となります。結婚指輪の上から婚約指輪を着けることで、二人の永遠の愛をロックする、という意味合いがあるためです。

・「左手薬指の着用」が一般的な理由は?

ではなぜ、左手薬指に着けるのが王道となっているのでしょうか。これは紀元前2500年頃、古代ギリシャ時代からの慣習に由来すると言われています。当時、心臓は人間の心を司る神聖な場所とされており、左手薬指は「心臓と一本の血管で繋がっている特別な指」だと信じられていました。その特別な指に指輪を着用することで、「夫婦の心を永遠に結ぶ」という意味合いが込められたのですね。

また、正式に左手薬指に結婚指輪を着用するようになったのは、11世紀頃、ローマ教会の結婚の儀式が確立してから……という説も。カトリック教において、左手薬指は「愛情」や「創造」を司る指とされています。歴史を辿れば、古代ヘブライ人は「右手人差し指」、17世紀のフランスでは「親指」に着用していたという説もあり、国や文化によっても異なる慣習があることが分かります。

そのほか、利便性に由来する説もあります。左手薬指は、日常生活の中ではあまり使わない指。大きく動かすことが少ない指で、指輪に傷が付いたり、無くしたりといったリスクが低いため、この指に着用するのが一般的になったという説もあります。

それぞれの指が持つ意味

続いて、左右10本の指が持つ意味をご紹介します。それぞれの指が持つ意味を理解しておくと、気分や状況に合わせて指輪を着用する楽しみが増えますね。

<親指>……願いを叶えてくれる指とされ、「サムリング」と呼ばれる。
右手:権威や責任を司る。リーダーシップや指導力を発揮したいときに。
左手:信念や愛を貫く。自己実現や目標達成をしたいときに。

<人差し指>……自立心を向上させてくれる指とされ、「インデックスリング」と呼ばれる。
右手:集中力や行動力を高める。人を導き教える力を得たいときに。
左手:積極性や精神安定を司る。積極的に行動する力を持ちたいときに。

<中指>……「ミドルフィンガーリング」と呼ばれる。
右手:直感力を司る。邪気から身を守りたいとき、インスピレーションが欲しいときに。
左手:協調性や直観力を高める。円滑なコミュニケーションを図りたいときに。

<薬指>……「アニバーサリーリング」と呼ばれる。
右手:精神安定や恋愛成就を司る。本来の自分らしい力を発揮したいときに。
左手:愛や絆を深める、相手の心を受け入れる。大切な人の愛を感じたいときに。

<小指>……チャンスを掴んでくれる指とされ、「ピンキーリング」と呼ばれる。
右手:困難を乗り越える、自分の魅力を発揮する。自分に自信を持ちたいときに。
左手:願いを叶える力を司る。恋愛など叶えたい願い事があるときに。

このように見てくると、他者に対する意味を持っているのは左手薬指のみ。それ以外の9本の指は、すべて自分自身に対する意味を持っていることが分かります。そうした意味でも、左手薬指はブライダルリングに最適な指と言えそうですね。

世界の指輪着用事情

結婚指輪を左手指輪に着けることが一般的とされている日本ですが、世界の国々を見てみると、そうではない国もあります。ここからはそんな世界の事情をご紹介します。

・「右手薬指」に着ける国も多くある

アメリカ、イギリス、フランスなど左手薬指の国が多いヨーロッパの中でも、ドイツやオーストリア、スウェーデンなど北欧の国々などは「右手薬指」に結婚指輪をするのが一般的。ドイツでは「婚約指輪を左手、結婚指輪を右手に着用する」のが通例となっています。同じキリスト教文化圏でも、一般的にカトリック派は左手に、プロテスタント派は右手に着用する傾向があると言われています。

ちなみに、右手に結婚指輪を着用する国では、右手が「血液が循環を始める手」とされ、重んじられてきた背景も関係しているようです。右手薬指は「正義」を司るとされ、この指に結婚指輪を着けることで永遠の愛を誓う、という意味合いが込められています。

・アジアには「足指」に着ける国も

アジアの国々では近年、欧米にならって左手薬指に着用する国が増えています。ただし従来は指輪を着用する習慣がない地域も。台湾などには「男性は左手薬指、女性は右手薬指に結婚指輪を着用する」といった、独特の風習を持つ地域もあります。

またインドや東南アジアの一部には、普段から靴を履く習慣がないことから、足の指に結婚指輪を着ける風習が残っている地域もあります。気候や服装の文化なども関係していると考えると、面白いですね。

自分やパートナーの「指のサイズ」のはかり方

毎日着用する結婚指輪を購入する際には、「サイズ選び」も非常に重要になります。サイズは着け心地にも関わりますし、ジャストフィットするサイズを選ぶことは、「紛失」などのリスクを避けることにもつながります。

特に男性は相手の指のサイズはもちろん、自分の指も把握していない人が少なくありません。デザインや宝石の付き方によってもベストなサイズは異なってくるので、最終的には必ず試着をして選ぶことが重要ですが、検討の段階では、大体のサイズ感を把握しておけると便利です。そこで、ここからは代表的な指のサイズの計測方法をご紹介します。

●自分で大まかに測る場合

自分のサイズを知りたい場合、まずは手持ちのリングの中で、一番ピッタリくるものの直径を計ってみるのがおすすめです。より正確に知りたい場合は、細い紙や針金等を指にギュッと巻きつけ、指の円周を計る方法もあります。目安は以下のような数値になります。

[号数] [直径(mm)] [円周(mm)]
7号………15.0………47.1
8号………15.4………48.2
9号………15.7………49.2
10号………16.0………50.3
11号………16.4………51.3
12号………16.7………52.4
13号………17.0………53.4
14号………17.4………54.5
15号………17.7………55.5
16号………18.0………56.5
17号………18.4………57.6
18号………18.7………58.6

注意したいのは、脚などと同様、指にも「むくみ」が起こる点。「靴は夕方に買うといい」と言われますが、これは朝よりも夕方のほうが足に水分が溜まっており、サイズが大きくなりやすいのが理由です。むくみがない時間帯のサイズに合わせてしまうと、窮屈になってしまう可能性も。また水分を多く摂る夏は、冬よりもむくみが出やすいと言われています。そのため朝と夜の最低2回以上は計り、平均を取ってみるのがおすすめです。

むくみの度合いは個人差が大きいですが、人によっては1日で0.5〜1号ほど変動する人もいます。普段から手持ちのファッションリングがキツくなったりゆるくなったりする感覚がある人は、より厳密にサイズ選びをするようにしましょう。

またリングの「幅」によっても、ベストなサイズが異なる場合があるので注意が必要です。幅が広いリングは指に当たる部分が大きい分、圧迫感があり、きつく感じやすいです。抜けてしまわない場合は、1サイズ上のものを選ぶことも検討してみるといいでしょう。

逆に華奢なリングは接触面が少ない分、ゆるめに感じやすいです。しかし、感覚的にピッタリくるサイズを選ぶと、指に食い込んで見えてしまうことも。「フィット感」と「見た目」の両面から、ベストなサイズを見つけていきましょう。

● 専用の測定器で測る場合

リングゲージやサイズ棒などの、専用のサイズ測定器で測るのもおすすめです。ブライダルジュエリーショップの中には、こうした器具を貸し出してくれるところもありますが、500〜2000円程度で購入できるので、自宅で測る場合はこうした器具も利用してみるといいでしょう。

「リングゲージ」はサイズの異なる簡易リングがたくさん連なっているもので、自分の指にはめてみて、ピッタリくるサイズのものを見つけ出す測定器です。リングを抜く際、関節に少しだけ引っかかって抜けるくらいがベストです。引っかかって痛さを感じる場合や、逆に引っ掛かりなく抜けてしまうサイズは、前後のサイズを試しましょう。指にリングをつけたまま手を動かすなどして、フィット感を確認してみるのがおすすめです。

一方、「サイズ棒」は目盛りが刻まれた棒状の測定器です。手持ちの指輪を通してみて、ピッタリと止まる位置の目盛からサイズを出す方法なので、ファッションリングなどを手元に持っていない場合、活用できない可能性があります。サイズの合った指輪を持っていない方は、「リングゲージ」のほうが適しているでしょう。尚、この2点はセットでも販売されているため、両方持っておくのも一案です。

● 店頭で計測してもらう場合

店頭に複数回出向ける人は、プロの手で測ってもらうといいでしょう。手指の形は千差万別で、「関節に合わせるとゆるすぎるし、根元に合わせると着用時にキツすぎる」など、どのサイズを選ぶべきか迷うこともありますよね。店頭であれば、多くの提案をしてきたプロの観点から、生活パターンや着け心地など、細かい部分までヒアリングしての意見をもらえるので安心です。

ただし上述もしたように「むくみ」が起こりやすい方は、店頭に出向く時間帯や季節によって、サイズが変わることもあるので、家でも計測しておけると安心です。

ちなみに、最新のデータによれば(※1)、結婚指輪は「2人で選ぶ」カップルが84%強と圧倒的に多いです。婚約指輪の場合は、「夫が選んだ」という人が約45%と最多ですが、それでも「2人で選んだ」というカップルは35%程度います。二人で一緒に購入に行けるのであれば、店頭で一緒にサイズを測ってもらうとよさそうです。

(※1)「ゼクシィ結婚トレンド調査2020」より

● サプライズで贈りたい場合

「婚約指輪や結婚指輪を、サプライズでパートナーに贈りたい」という人もいるでしょう。この場合、正確なサイズ測定には工夫が必要です。相手の手持ちの指輪を探し、こっそり上記の測定器等で測ってみるのも一案ですが、ジャストフィットのリングを贈りたいのであれば、やはり一緒に購入に行くのがベストです。「寝ている隙にそっと測る」といった方法は誤差が生まれやすいので、お勧めできません。

婚約指輪に関しては、先にダイヤモンドのみでプロポーズをして、後日リングのデザインとサイズを決定できるサービスを用意しているところもあります。「相手の指のサイズが分からないけれども贈りたい」という人は、お店で相談してみるといいでしょう。

● 妊娠中にサイズを選ぶ場合

最近は「授かり婚」をするカップルも増えており、結婚指輪を選ぶタイミングに妊娠をしている方もいます。妊娠中は一般的に体重の増加やむくみが生じやすく、「出産後にはゆるく感じてしまうのではないか」と心配する方もいるでしょう。

出産後は生活パターンが変わって体重が増加する人もいれば、育児疲れで妊娠前よりも痩せる人もおり、このあたりの変化を正確に予想するのは難しいです。そう考えれば、購入時点でのベストなサイズを選び、「一時的にキツくなったら外しておこう」「完全にサイズが合わなくなったときに、お店でリサイズしてもらおう」と決めておくと、迷いなく選びやすいかと思います。購入時点から、リサイズができるお店やデザインを選んでおくのがおすすめです。

まとめ

以上、結婚指輪と指に関する情報をお伝えしました。

指輪を着ける指に込められた意味・背景などを知ると、より指輪に対する愛着も増しますよね。安心して、かつ快適に毎日着けられる“ベストなサイズ”を選び、二人だけの結婚指輪の着用を存分に楽しんでください。

更新日時:2021.09.03