結婚するとき婚姻届を提出することは誰もがご存じかと思いますが、ほかにも多くの手続きが必要となります。事前に必要な物や順序を知っておくことでスムーズに結婚の手続きが進められるはず。 

そこで今回は、結婚に必要な手続きや基礎知識などについてご紹介します。結婚に伴う手続きをスムーズに進めるために、ぜひチェックしてください。 

<結婚で必要な手続きにはどんなものがあるの?> 

結婚後はどのような手続きが必要?スムーズに進めるためのポイントを解説_1

結婚する上で必要な手続きと言えば、まずは婚姻届の提出や住所の変更手続きが思い浮かぶのではないでしょうか。しかし、苗字や住所の変更に伴って、さまざまな手続きが必要となります。あらかじめすべきことをリストアップしておくと、抜けがなく手続きできるでしょう。結婚で必要な手続きの、手順や方法について見ていきましょう。 

1 婚姻届の提出

婚姻届は、ふたりの新しい戸籍を作るために役所に提出する物です。婚姻届の用紙は、市区町村役所の戸籍を扱う部署で入手できますが、記入する内容は全国共通なので、どこで貰っても構いません。最近では、インターネットでダウンロードする方も多く、キャラクターがデザインされたり、自分たちの写真を入れ込んだりしたオリジナルの婚姻届を利用する方もいるようです。書き間違うリスクを考えて、予備も準備しておくと安心です。 

婚姻届の提出も、基本的に日本全国どこで出してもOKです。そのため、ふたりの思い入れのある場所や時間を選んで提出するのも良いでしょう。

婚姻届にはふたりの署名だけでなく、証人の署名も必要となります。提出したい日を考えて、両親や友人、知人にお願いしておくとスムーズです。 

また、代理人でも婚姻届は提出できますが、不備があっても対応できるように、本人が提出するのが望ましいと言えます。 

<必要な書類や持ち物> 

・婚姻届 

・提出者の身分証明書 

なお、令和3年9月から押印は不要となっています。 

2 転居の手続き</h3> 

最近は結婚前に同棲するカップルも多くいますが、入籍を機にふたりで暮らし始める場合は、転居の手続きが必要です。転居の手続きは、これまで住んでいた市区町村内での引越しかそうでないかで、手続きが多少変わります。 

(1)これまで住んでいた市区町村内で引っ越す場合

これまで住んでいた市区町村内での引越しの場合、引越し後に転入届の手続きのみ行います。引越ししてから14日以内の手続きが必要なので、忘れないようにしましょう。 

<必要な書類や持ち物> 

・印鑑 

・本人確認書類 

・国民健康保険被保険者証(対象者のみ) 

・委任状(代理人の場合) 

(2)これまで住んでいた市区町村外に引っ越す場合

これまで住んでいた市区町村外へ引っ越す場合は、引越しの前日までに今住んでいる地域の役所に転出届を提出し、転出証明書を受け取ります。郵送でも手続きは可能ですが、処理に時間がかかる場合があるので、余裕を持って行いましょう。引越しが終わったら、14日以内に新しく住む市区町村の役所に、転出証明書と転出届を提出します。 

<必要な書類や持ち物> 

・印鑑 

・転出証明書 

・本人確認書類 

・年金手帳(国民年金の第1号被保険者のみ) 

・住民基本台帳カード(持っている場合) 

・委任状(代理人の場合) 

3 苗字変更に伴う手続き

結婚によって苗字が変わることで、さまざまな氏名変更手続きが必要になります。主な手続きは以下の通りです。 

・運転免許証

運転免許証は、本籍地や住所、苗字が変わった場合に届け出を行う必要があります。届け出には新しい氏名と住所が記載された書類が必要なので、健康保険証や公共料金の領収書などを準備しておきましょう。ただし、本籍を変更したときは住民票が必要です。都道府県によって異なりますが、別の都道府県に引越した場合は、証明写真が必要な場合があります。 

同一住所地に居住する家族に限り、代理での手続きが可能です。 

・金融機関

銀行口座の氏名変更も忘れずに行いましょう。ほとんどの銀行では、氏名変更手続きができるのは苗字を変更した本人のみで、窓口に出向く必要があります。代理人にお願いしたいときや郵送で変更したいというときは、銀行に問い合わせてみましょう。 

・パスポート

パスポートの苗字や本籍地変更についても対応が必要です。手続きには、新姓が記載された戸籍謄(抄)本とパスポート用の写真が必要です。委任状があれば代理人が申請できますが、本人の署名が必要な部分があるので、スムーズに手続きを進めたい場合は本人が行うと良いでしょう。 

なお、海外旅行をする際、航空券とパスポートの氏名は同じでなければならず、ほとんどの場合、航空券の氏名変更はできません。旧姓で海外旅行の予約をしている方は、旧姓のまま旅行をすることは可能なので、帰国後に変更するようにしましょう。 

・その他契約

クレジットカードや携帯電話、インターネット、ガスや電気の名義など、住所や苗字の変更が必要な契約はさまざまです。変更方法は契約によって異なりますが、オンラインで変更ができる場合も多くなっています。 

クレジットカードの場合は、変更に必要な届出書を取り寄せて、必要書類とまとめて郵送するケースが少なくありません。そのため、クレジットカードの手続きには時間がかかることを念頭に置いておきましょう。 

なお、変更期間中にクレジットカードで支払いを行った場合、銀行口座とクレジットカードの名義が違うと、一時的に銀行口座の引き落としができないケースがあります。慌てないために、事前にクレジットカード会社に確認しておくと安心です。  

4 仕事における手続き

仕事における手続きは以下の通りです。 

会社勤めの人

会社に勤めている方は、住所や苗字の変更だけでなく、給与の振込口座の変更をしなければなりません。また、結婚後も会社では旧姓を名乗りたいという場合にも、手続きが必要な場合があります。手続きや、タイミング、必要な書類は会社によって異なるので、事前に確認しておきましょう。 

国家資格などを保有している方は、苗字や本籍地が変更になった場合、変更手続きが必要です。変更方法は、資格を管理している官庁や協会、団体によって異なるので、事前に確認してください。仕事にかかわる資格は、手続きが遅れると問題になることもあるので、早めに手配するようにしましょう。 

会社勤めではない人

会社勤めではない方は、結婚に伴いパートナーの扶養に入るのが一般的です。この場合は、自身ではなくパートナーが手続きを行います。 

手続きには婚姻届受理証明書が必要になるので、忘れず準備しましょう。また、結婚を機に退職する場合は雇用保険受給資格証や離職票などの書類が必要です。 

被扶養者になる事実が発生した日から5日以内に手続きを行う必要があるので、早めに対応しましょう。 

5 妊娠・出産における手続き

妊娠・出産における手続きには、「出産育児一時金」「出産手当金」「育児休業給付金」が挙げられます。 

出産育児一時金とは、被保険者及びその被扶養者が出産した場合に出産費用を補助する助成金です。申請先は、医療機関もしくは協会けんぽ支部です。 

出産手当金は、出産に伴い仕事を休む場合、その間の給料の代わりに健康保険から支給される手当金です。健康保険に加入していることが条件なので、加入していない方は申請できません。 

会社から申請用紙を受け取り、必要事項を記入します。医師の証明も必要なので、申請用紙とまとめて勤務先に提出しましょう。 

育児休業給付金は、育児休暇中に受給できる給付金です。雇用保険に加入しており、かつ復職を前提としている方が対象です。出産手当金と同じく、会社から申請書を受け取って提出します。 

<平日にしかできない手続きは?>

結婚後、仕事が忙しいとなかなか休むことができず、土曜日・日曜日・祝日に手続きをしたいと思う方もいるでしょう。しかし、以下の手続きは平日にしかできないため注意が必要です。 

・マイナンバーカードの氏名・住所の変更 

・健康保険証の氏名変更 

・銀行口座の氏名・届出印の変更 

・印鑑登録 

上記は役所・銀行での手続きが必要になり、これらの機関は平日しか開いていません。そのため、結婚後は手続きのために事前に休みを取得しておくのがおすすめです。 

<各種手続きをスムーズに進めるためには?>

結婚後はどのような手続きが必要?スムーズに進めるためのポイントを解説_2

結婚の際にはさまざまな手続きが必要なことがわかりましたが、二度手間にならないようにしたいもの。そこで、複数の手続きを滞りなく、スムーズに進めるためのコツをご案内します。 

1 記入用紙は事前に複数もらっておく 

転入届など、その場で受け取った書類に記入する場合は不要ですが、婚姻届など、自宅に持ち帰って記入する用紙は、複数枚貰っておくと、書き間違いをしてしまったときにも安心です。提出するときは、万が一間違いがあったときのために、訂正用の印鑑(姓が変わる場合は旧姓の印鑑)を用意しましょう。 

2 必要書類は早めに用意しておく

ほとんどの手続きにおいて、記入用紙だけでなくさまざまな書類が必要となります。特に、戸籍謄本は本籍地と現在の居住地が離れている場合、入手するまでに時間がかかる可能性があるので、早めに準備しておくと安心です。 

また、住民票は運転免許証やパスポートなど、さまざまな変更手続きで必要となるため、あらかじめ必要な枚数を確認して取得しておきましょう。 

3 必要な持ち物を事前に確認する

運転免許証や銀行口座など、苗字や住所の変更は、オンラインや郵送ではなく、窓口でしか手続きできないこともあります。その際、1つでも必要な物が欠けていた場合、当然ながら手続きは完了できません。 

何度も窓口に足を運ぶことにならないよう、事前に必要な持ち物を調べ、しっかり準備しましょう。 

4 苗字変更後の印鑑をあらかじめ用意する

婚姻届提出後の手続きには、新姓の印鑑が必要です。珍しい苗字などの場合は、すぐに購入することが難しい場合もあるので、婚姻届を提出する前に用意しておきましょう。また、印鑑が必要となる手続きは、銀行口座の名義変更や婚姻届受理証明書の申請などで、自治体によっては転入届の提出の際にも必要となります。 

<もっともスムーズに各種手続きを行える順序> 

結婚後はどのような手続きが必要?スムーズに進めるためのポイントを解説_3

多くの各種手続きをスムーズに行うためには、順序をあらかじめ考えておくことがポイントです。その順序は、婚姻届の提出と引越しのタイミングによっても異なるため、ケースごとに詳しくご案内します。 

婚姻届の提出と引越しを同時に行う場合

婚姻届の提出と引越しが同時の場合、転入届と婚姻届を同日に提出すれば、役所に出向く回数が少なくて済みます。手続きを行う際に住民票も発行できるため、ほかの手続きもスムーズに進められるでしょう。うまくいけば、1日で手続きを終えられるかもしれません。 

<手順>

1 現在住んでいる市区町村の役所で転出届を提出し、転出証明書を貰う

2 新しく住む市区町村の役所で転入届と転出証明書と婚姻届を提出し、住民票を発行する

3 警察署で運転免許証の住所、氏名変更を行う

4 銀行口座やクレジットカードなど、そのほかの氏名・住所変更を行う

※同一市区町村内での引越しの場合は、転出届の提出は不要です。 

引越し後に入籍する場合

まず引越しして、生活が落ち着いてから入籍したいという方もいるでしょう。引越し後に入籍する場合は、同時に手続きする場合より、少し手間が増えることになります。 

役所に行く回数を少なくできるよう、必要書類はあらかじめ用意しておきましょう。 

<手順>

1 現在住んでいる市区町村の役所で転出届を提出し、転出証明書を貰う

2 新しく住む市区町村の役所で転入届と転出証明書を提出し、住民票を発行する

3 警察署で運転免許証の住所変更を行う

4 銀行口座やクレジットカードなど、そのほかの住所変更を行う

5 役所で婚姻届を提出し、住民票を発行する

6 警察署で運転免許証の氏名変更を行う

7 銀行口座やクレジットカードなど、そのほかの氏名変更を行う

※同一市区町村内での引越しの場合は、転出届の提出は不要です。 

入籍後に引越しをする場合

仕事などの都合で入籍後にふたりで住む家を探し、一緒に住み始めるのは少し先というカップルもいます。 

入籍してから引越しをする場合は、婚姻届の提出後にまず氏名の変更を行い、引越し後に住所変更の手続きを行います。 

<手順>

1 役所で婚姻届を提出し、住民票を発行する

2 警察署で運転免許証の氏名変更を行う

3 銀行口座やクレジットカードなど、そのほかの氏名変更を行う

4 現在住んでいる市区町村の役所で転出届を提出し、転出証明書を貰う

5 新しく住む市区町村の役所で転入届と転出証明書を提出し、住民票を発行する

6 警察署で運転免許証の住所変更を行う

7 銀行口座やクレジットカードなど、そのほかの住所変更を行う

※同一市区町村内での引越しの場合は、転出届の提出は不要です。 

引越しをしない場合 

すでに同棲をしている場合は、入籍の手続きだけを行うことになるため、比較的簡単です。 

<手順>

1 役所で婚姻届を提出し、住民票を発行する

2 警察署で運転免許証の氏名変更を行う

3 銀行口座やクレジットカードなど、そのほかの氏名変更を行う

<あらかじめやるべきことをリストアップしておこう>

結婚を決めて入籍するとなると、重要な手続きが多くあります。場合によっては夫婦としての初めての共同作業が、これらの手続きとなるかもしれません。 

あらかじめやるべきことをリストアップしておくとスムーズに進められるため、しっかり調べておきましょう。代理で手続きできるものもあるので、夫婦で分担して行うのがおすすめです。 

なお、結婚に必要な手続きについては以下の記事でもご紹介しています。ぜひ併せてご覧ください。 

婚姻届だけで大丈夫? 結婚の際に必要な手続き・届け出を知ろう
結婚後に慌てないために!押さえておきたい諸手続き

更新日時:2024.07.26